最近テレビでも話題になっている『映画を早送りで観る人たち』と言う新書本を読みました。私も撮りためた情報番組を週末にまとめて2倍速で観ることがよくあります。ただ、2倍速で観ると同じ時間で多くの情報量を取り入れることは出来るのですが、残念ながら記憶が残っている時間も2倍速で進むように感じます。よくできています。

そこで良かったなと思う番組は、しばらく経ってからもう一度観るようにしています。そうすると記憶の定着もいいようです。だったら最初から普通に観ればいいようにも思うのですが、記憶に残したいものだけをもう一度観ることで、時間の節約にはなっているかなと思っていました。今のことばを使うとタイパ(タイムパフォーマンス)がいいのかも知れません。

前掲の本を読んで、Z世代の置かれた状況の一面が判りました。私は映画を早送りで観ることはないのですが、もし私もZ世代と同じ環境で育っていたら、映画を早送りで観ていたに違いないと思いました。きっと映画でもタイパを重視して観ることもあるだろうなと思いました。

インターネットやSNSの登場で日々情報が溢れ、現代人は益々忙しくなっています。また映画やドラマはサブスクリプションを利用して同額でいくらでも観られる環境となり、「鑑賞」から「消費」に変化してしまった側面もあるようです。デジタルになって簡単に倍速でも観られるようになったことも大きい。技術革新で人々のニーズやウオンツを満たそうと、新しいビジネスが次から次へと生まれたのでしょう。

最新映画は映画館でしか観られなかった時代を知っている世代としては、なんだかもったいない気もします。(なぜか「狭い日本そんなに急いでどこ行くの」という交通標語を思い浮かべました。)映画館に行くまでのわくわく感も、上映中の没頭も、映画を観た後の余韻に浸るのも含めて映画の楽しみであったように思います。贅沢な時間でした。

千数百円の映画代は学生には高かったですが、事前に何を観るかを検討し、観た後も作品の解釈をあれこれと楽しんだりと、十分にコスパ(コストパフォーマンス)も高かったように思います。

たまにはタイパを忘れてゆったりと、いい映画を鑑賞する時間を持つことは、大事なことだなと思います。何も映画鑑賞に限る必要はないと思います。ゆったりと非日常を過ごすことが大事なのだと思います。日頃忙しい人ほどそういう時間を持つことは大事なのではないでしょうか。 このブログを書いていたら、映画館でいい映画を観たくなりました。もっとも私は日頃大して忙しくありませんが。